〈辰(たつ)巳(み)天井、午(うま)尻下がり、未(ひつじ)辛抱、申(さる)・酉(とり)騒ぐ、戌(いぬ)笑う、亥(い)固まる、子(ね)は繁栄、丑(うし)躓き、寅(とら)千里を走り、卯(う)跳ねる〉
相場の格言集によれば、子年は「繁栄の年」ということになるが、2008年は株安に円安、原油高、と年明けから荒れ模様である。昨日(8日)、5日ぶりに反発した株価も一夜明けたら100円以上下げて取引が始まった。午後に入って上げに転じたが、株安の地合は変わらない。
曲がりなりにも6年間にわたって景気を牽引してきた輸出・円安頼みの“成功モデル”が崩れかかり、日本経済はサブプライムローン問題、原油高、建築基準法の改正による建築着工の遅れ、の三重苦に見舞われている。政局の混迷も加えれば“四重苦”か。
個人消費も去年からの値上げラッシュに気圧されて元気がない。頼みの綱は春闘。経営側は賃上げ要求を受け入れる姿勢を示しているが云々…。やめた、話が暗くなる。
話はがらりと変わる。「週刊金融財政事情」という経済誌に29回にわたって連載された小説「昔は国を思はざりけり―ある金融記者の彷徨」を、正月休みの間にまとめて読んでみた。
金融取材で鳴らした新聞記者OBの作で、自身が新聞協会賞を受賞した銀行合併など数々のスクープをどうやって物にしてきたかを誇らしげに綴った自伝的小説だ。
小説なので登場人物は全員仮名、とそう思い込んで読み始めたら、驚くことに取材先の人物が実名で登場してくる。主人公を含め取材する側は全員仮名だが、取材される側は逆に全員が実名で、おまけに誰がどのネタをくれたかまで明かしているのである。
自身の情報源を暴露する記者は、そうそういない。何が彼をこのような行動に駆り立てたのか。

