「原油価格は、向こう数年の間に1バレル=105ドルまで上昇する可能性がある」
米ゴールドマン・サックスが、「100ドル原油」時代の到来を予測するリポートを発表したのは2005年春。今から3年前のことだ。
当時の原油価格(米ニューヨーク・マーカンタイル取引所の米国産WTI原油の先物価格)は50ドル台で、中国やインドの需要拡大、資源開発投資の減少、米国の石油精製設備の老朽化、中東の地政学的リスクなどを要因に70ドル台後半まで上昇した後、昨年初めには50ドルを割り込む水準まで下落した。
ところが、原油価格はその後、供給不安を連想させる大きな出来事が頻発しているわけでもないのに急騰。11月20日に99.29ドルまで上昇した後、若干反落したが、年明け3日の取引で史上初めて100ドルの大台に乗せた。ゴールドマン・サックスが予測した通りの展開となった。
暴騰ともいえる価格上昇の主役は「投機」である。特に昨夏以降の急騰は、米国の信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題で金融市場から逃げ出した投資マネーが原油市場にどっと押し寄せてきたためで、その中には産油国が原油高で稼いだオイルマネーも紛れ込んでいる。
原油生産の収益を増産や開発投資に充てずマネーゲームに精出す産油国。11月のOPEC(石油輸出国機構)首脳会議では原油の増産論議は行われず、直後のOPEC総会でも増産を見送った。産油国には、1970年代末から80年代初めにかけての第2次石油危機で30ドル台に急騰した原油価格が、瞬く間に10ドルまで急落し塗炭の苦しみを味わったトラウマがある。
OPEC諸国が増産に慎重なのはこうした事情からだが、100ドルを当面の目標に原油を買い進めてきた投機筋が目標達成で一斉に買いポジションの解消に動けば、原油価格は下降局面に転じる。実際の需給などのファンダメンタルズ(基礎的条件)とはかけ離れた投機によってもたらされた異常な原油高だけに、下げ足が速く「暴落」という展開もあり得る。
ただし、中国やインドの需要拡大などの需給環境が好転する見通しが立っていないので、原油価格が「原油安」と呼ばれていた時代まで戻ることは考えにくい。投機筋に揺さぶられながら下落と上昇を繰り返し、中期的にはIEA(国際エネルギー機関)が予測した「150ドル原油」の時代に向かって徐々に水準を上げていくことになるのだろう。

